「国際結婚=バイリンガル育児」は誤解?NY在住家族から学ぶリアルな現実と成功の鍵

「親が国際結婚だからバイリンガルでいいね!」
ー日本でもアメリカでも、よくそう声をかけていただきます。

8歳と4歳である私の子どもたちは、父が英語ネイティブ、私が日本人のミックスです。
英語と日本語両方に触れられる、ありがたい環境で育ち、両言語を自由に話します。

うちのようなケースはニューヨークでは珍しくなく、多言語を子供に学ばせるには、恵まれた環境でしょう。

でも、もし「ミックスなら自然とバイリンガルになる」と思われているなら、それは誤解です。  

もちろん、言語能力に長けていて自然とバイリンガルに育つ子もいるのかもしれませんが、私自身や周囲の国際結婚家庭を見ている限りでは、そんなケースに出会った事はありません。

日英問わず、今まで出会ったすべての国籍のバイリンガルの子どもたちは、親と本人のとてつもない努力によって育っています。  

彼らたちの取り組みの中に、日本に住む私たちにも参考にできることがたくさんあるので、この記事で紹介させて頂きます。

国際結婚だからバイリンガルに育つ訳ではない

今回の旅で、スペイン語を話す夫を持つアメリカ人女性の話を聞きました。

彼女も、我が子にスペイン語と英語のバイリンガルになってほしいと願いましたが、夫は特別な教育を継続しなかったため、子供はスペイン語を話さなくなってしまった、と言っていました。

また、ある絵本にはこんなストーリーが描かれています。

英語ネイティブの父と中国人の母を持つ女の子が、中国から移住してきたおじいちゃんと一緒に暮らすことになりました。しかし、空港で初めて対面したとき、おじいちゃんは孫がまったく中国語を理解しないことに衝撃を受けます。

女の子は「ママはフラッシュカードを使って中国語を教えようとしたけれど、途中でやめてしまった。日曜の中国語学校にも通わせてくれたけど、嫌になってやめた」と話します。

おそらく、その後母親は、中国語を教えることを諦めてしまったのでしょう。

このように、国際結婚や海外在住だからといって、子どもが自然に多言語を習得するわけではありません。

バイリンガルに育てるには、親の根気強い働きかけや環境づくりが大切なのです。

ニューヨークに住む日系家族の取り組み

ではバイリンガル教育に成功する家庭はどのような工夫をしているのでしょうか?

例えば、ニューヨークに住む日系の家庭では、日本語を継承するために大変な努力をしています。  

  • 赤ちゃんの頃から、日本語に触れる機会を意識的に作る  
  • 毎日、日本語の読み聞かせ
  • 日本語教材を日本から取り寄せる  
  • 日本語のプレイデート(子供同士遊ばせること)を頻繁に開催する  
  • 週末には日本語学校に通わせる(学費は年間で数十万円)  

週に5日間現地校に通いながら、土曜日には日本語学校へ行き、宿題までこなす。
–なぜ自分だけが土曜日も学校に行かなければいけないのか、と、子供が不平をこぼすこともよくあります。

それでも日本語環境を整え続ける親の根気強さと、本人の努力があるからこそ、彼らはバイリンガルに育つのです。  

現地日本語学校の素晴らしい取り組み

ニューヨークにあるブルックリン日系人家族会(BJAFA)は、日本語と日本文化の継承を目指し、日本語学校の運営を筆頭に、さまざまな活動を展開しています。

私たちは今回のニューヨーク滞在中に「BJAFAコミュニティ図書館」を訪問しました。

BJAFAコミュニティ図書館の特徴

– 豊富な蔵書:3000冊以上の日本語の絵本や文庫本を貸し出し。

– ストーリータイムの開催:毎週火曜日に、ブルックリン日本語学園の先生による未就園児向けのストーリータイムが開催され、読み聞かせや手遊びを通じて子どもたちが日本語に親しむ機会を提供。

– 無料で利用可能:本の貸し出しやストーリータイムはすべて無料で、誰でも参加可能

公式ウェブサイト:https://bjafa.org/bjafa-library/

BJAFAコミュニティ図書館は、親子で日本語の本に触れ、リラックスできる空間を提供しています。

私が訪問した時も、子供達が自由に遊んでいる周りで、日本人親同士が会話を楽しんで、お互いの子供達の成長を見守りながら、育児の情報交換などもしていました。

本国とは遠く離れた土地でも、温かい日本のコミュニティが生まれています。

このコミュニティは、自然に生まれたものではありません。
ここに住む家族たちが「欲しい」と願い、実現を決意し、作り上げたものです。

バイリンガル教育の成功は、生まれ持った環境よりも、「いかに持続的な環境を作り上げるか」が重要なのです。

日本で英語バイリンガルの子どもを育てる際にも、BJAFAのような取り組みは大いに参考にできるでしょう。

親が英語を喋れないと無理?

「こんなに難しいなら、日本在住で、日本の両親なら無理でしょ」と、絶望されたかもしれません。

確かにチャレンジはありますが、そんなに難しい話では無いはず。

なぜなら、日本で英語を教えるほうが、海外で日本語を教えるよりもずっと簡単だからです。

英語教材は豊富にあるし、英会話学校や英語ネイティブ講師も多い。生活の中にアルファベットが溢れているし、小学校から英語の義務教育も始まります。

すでに日本の子どもたちは英語に触れる環境を持っています。  

あとは、親が「どうやって家庭内での英語を習慣化させるか?」を意識し、英語に触れる機会を増やしていくことが大切です。
無理しすぎると親も子供も辛くなってくるので、ゆるく楽しく続けるという工夫も必要です。  

「そもそも、私たち両親が英語が話せないから…」と思う方もいるでしょう。
しかし、そういうあなたも、きっと英語はいくらか話せるはずです。
どれだけ自由に扱えるかという、レベルの違いだけです。

ご自身の英語力に不安がある場合は、子供と一緒に学ぶのも、良い親子の時間となるでしょう。

きっと一番試されるのは、親が意欲を維持できるか、というところです。

バイリンガルは「自然になるもの」ではなく、環境と習慣の積み重ねで育つもの。  
日本にいながらでも、親子が英語を楽しく学び続けられる環境を作ることは可能です。  

今回のBJAFA訪問をきっかけに、Dee’s Englishでも「釧路市の家族のためにもっと貢献したい」と刺激をいただきました。

市と家庭と協力して、国際都市としての釧路市の可能性を広げるためにできることは、まだまだありそうです。

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